2012年5月 5日 (土)

2012桜ツイートまとめ

最近あったいいこと。
我が子とお出かけ中のこと。
「おかしゃん、さくら!」
やっと花の名前を覚えた我が子が、満開の桜並木を見上げた。
「きれいね」「うん!」と、一陣の風が吹き抜ける。
「あ…」舞い散る花びらを見つめ、我が子が悲しげな顔をする。
花を惜しむ気持ちがあるんだね。
成長を感じる春。


最近あったいいこと。
我が子を自転車で送ってからの帰り道。
我が子がいなくなった自転車はひどく軽い。
頼りないハンドルを握って、桜並木を走る。
花吹雪を浴びながら思う。これが自分、一人分の重さか…。
お母さんになってから、ひとりの時間に焦がれる日もあるけれど、
やっぱり君がいないと寂しいや。


最近あったいいこと。
我が子を自転車で迎えに行った時のこと。
我が子をひょいと抱えて、チャイルドシートに乗せると、
「おかしゃん、みて!」と我が子が指さした。
見れば、シートに花びらが積もっている。
「さくら!」「ほんと、きれいね」君を思って走った桜並木。
空っぽの座席に素敵なおみやげだね。


誰かを思うことで心は広がる。
誰かを失うことで心は空っぽになる。
でも、この空っぽのチャイルドシートに積もった花びらのように、
誰かを思っている心には、たくさんのことが降り積もるのだと思う。


こんな自分にも、花びらは降り注ぐ。
桜の終わりは、世界と自分と、ひっそりと向きあうにはちょうどいい。


降り注ぐ花びらを見つめる我が子。
「桜、散っちゃったね」と声をかけると、「どして?どしたら?」
どうして花が散るの?どうしたら花が散らないですむの?、
と聞いているのだ。
「花は散るよ。でも雪みたいできれいね」と言うと「ゆき!」と笑う。
楽しかった冬の思い出が、春が過ぎる悲しみを和らげる。


桜が散って、春の終わりを知る。
惜しげなくこの身に降り注ぐ花びらは、
花の命の終わり――死の断片だ。
無数の死をくぐって私は、命を思う。
今年もまた、この世界に生きることを許されたのだ。
来年まで、さよなら。
さあ、ここからが、一年の始まりだ。

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2012年3月24日 (土)

冒険の行き先

 ゲームを遊ぶという行為自体は現実を生きることに忙しくなっていくに連れ、いつかは卒業してしまうものかもしれません。ですが良い本が時代を超えて心に残っていくように、ゲーム世界で過ごした冒険の日々が皆さんの心の栄養になって、 皆さんの心を形作る一助になってくれればと私は願っています。

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2012年2月15日 (水)

バトンリレーのこと

ゲーム開発はバトンリレーみたいなものです。例えば私はシナリオライターですが、現場監督や企画やバトルのリーダーからバトンを受け取って、彼らのオーダーに合致したシナリオを書き終えOKをもらうと、そのバトンをイベント班やグラフィック班に手渡します。

バトン(=作品)は人手を経るごとに洗練され、より具体的な形となって次の部署に託され、完成に近づいていきます。ゲーム開発はチームで乗り切る団体戦なのです。だから誰かひとり突出した能力者がいたとしても、ずっとその人物のターンというわけではないです。

よく誤解されるのがシナリオライターのターンです。ライターってずっとバトンを握りしめ「俺様のターンだ!」とやってるんじゃないの?――と。そんなことはありません。それではグラフィッカーさんはどんなキャラやマップを用意すればいいのかわかりませんしイベント班はイベントを組めません。

シナリオは色んな部署の素材割り出しに必要なので早い段階で書き終えます。バトル班やマップ班も同様に、仕様を固める時期を集中して走り込んだ後は関連部署に「こういう仕様だから合わせて欲しい」とバトンを渡し、バトン受け渡しの調整が整った後は、黙々と目の前の業務に徹します。

そういった各部署が複雑に絡み合って作業する中で、誰かが何ヶ月もバトンを握りしめたまま「俺様のターン!」とやっていたら開発は麻痺してしまいます。なので現場監督はそんなことがないよう先行してゲーム性を詰め、問題があれば早めに対処し、適切な指示を飛ばしてバトンリレーを先導します。

バトンは必ず次の走者に渡すものであり、バトンを手にしていて良い時期、自分がメイン走者となって走っている時間というのは、役職に限らず決まっているのです。中でもシナリオライターは、「さっさとバトンを渡せ!」と各部署からせっつかれる役職です。シナリオはいつも時間との戦いなのです。

シナリオライターは自分の区間走行が終わっても気が抜けません。バトンを持ってる現場から「シナリオでこれができないか?」と、瞬間的にバトンを手渡されることがあるからです。そんな時は「うお!ここで来るか?」と心で思いながらも「できますよ!」と笑顔で引き受けるしかありません。

そんな時シナリオライターは全速力で代走します。どこまでどう走ればいいのか、現場から具体的な指示があるので迷うことはありませんが、とにかくこれも時間との戦いです。早ければ早いほど現場に時間を渡せます。ゲームは現場で出来ています。シナリオがバトンを止めるわけには絶対にいきません。

こうして、ところどころシナリオライターの代走を挟みながら、チーム全体でバトンを回して一年から二年半――。長くて短い開発期間をチームみんなで完走した時、その「バトン=作品」には開発者全員の思いと、工夫を凝らした様々な面白さが詰まっていることになります。

走者として自分の区間を走りきって次の走者にバトンを渡していく。これは開発者のひとりひとりがお互いの技を認め、信頼と尊敬によって結ばれていなければ成り立たないものです。誰かひとりが走り続ける開発もあるかもしれませんが、こういった全員完走の開発がひとつの理想だと思っています。

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2011年5月 7日 (土)

シナリオライターは……

シナリオライターは
ユーザーに「○○したい!」と思わせる仕掛けを作る人です。

心を揺さぶるきっかけを与え、考えてもらう隙を作り、
そして行動にうつってもらえるようタイミングを譲る。

ユーザー=主役の皆さんが楽しく冒険できるよう、
バトルやマップなどにまたがって様々な配慮をする裏方です。

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2011年4月27日 (水)

真珠姫とレディ・パールのこと

真珠姫とレディパールは白と黒、姫と騎士、
全て正反対のキャラにしたかったのです。

でもバトルキャラとしての設計はバトル班の担当なので
ダメ元で相談に。
結果「いいんじゃない生田さんらしくて」と一発OK。

それでバトルではしゃがむことしかできない真珠姫と、
鬼の強さのレディパールが誕生しました。


(つづく)


真珠姫とレディパールは、
ひとりのキャラクターを二倍の容量で描いています。

その裏にはイベント班とバトル班の協力で創り上げた
それぞれの真珠像、パール像があります。

バラバラの部署にいる開発者たちが一丸となってひとつの目標に向かう、
そんなことを具体化出来たキャラだったと思います。


(つづく)


おかげで真珠姫の使えなさ、
レディパールのチート的強さによる振り回され感も
半端なかったと思います。

それをバトルで体験できる分、
ふたりの間で揺れる瑠璃くんの大変さが垣間見えたと思います。

バトル班の強力なバックアップで実現できた
バトルを含めた三角関係(?)の演出は楽しかったです。

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2011年4月22日 (金)

前を向く

自分のためだけには、
もう、どうやっても頑張れないことがある。
そんなとき声をかけてくれる誰かがいる。

「すべて自分で解決しようとしなくていいんだよ」

そう言葉にして言ってもらえることがある。
頑張れとは言わない。ただ、暖かく背を押される。

そんな日が一日でもあれば、
私は前を向いていける。

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2011年4月20日 (水)

つながっている

書けるヤツは筆を取れ! 歌えるヤツは歌ってくれ!
みっともなくてもいい。情けなくてもいい。
気持ちを吐き出せ。

声をあげられない人のために、言葉もない人のために、
前を向けない、もう頑張りようもない人たちのために。
動けるヤツが動かないでどうする!

この空も海も大地も、私たちは全て繋がっている。

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2011年4月14日 (木)

うつくしいもの

美しいものを手にしたいと思った時、
その気持ちは何かを傷つけ、壊してしまうかも知れません。

何かを欲しいと願うだけでは奪うことと同じようなものです。

自分の持つものを分け与え、
それによって世界の何かが満たされて、
はじめて人は何かを傷つけず、
何かを手にすることができるのではないでしょうか。

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