2012桜ツイートまとめ
最近あったいいこと。
我が子とお出かけ中のこと。
「おかしゃん、さくら!」
やっと花の名前を覚えた我が子が、満開の桜並木を見上げた。
「きれいね」「うん!」と、一陣の風が吹き抜ける。
「あ…」舞い散る花びらを見つめ、我が子が悲しげな顔をする。
花を惜しむ気持ちがあるんだね。
成長を感じる春。
最近あったいいこと。
我が子を自転車で送ってからの帰り道。
我が子がいなくなった自転車はひどく軽い。
頼りないハンドルを握って、桜並木を走る。
花吹雪を浴びながら思う。これが自分、一人分の重さか…。
お母さんになってから、ひとりの時間に焦がれる日もあるけれど、
やっぱり君がいないと寂しいや。
最近あったいいこと。
我が子を自転車で迎えに行った時のこと。
我が子をひょいと抱えて、チャイルドシートに乗せると、
「おかしゃん、みて!」と我が子が指さした。
見れば、シートに花びらが積もっている。
「さくら!」「ほんと、きれいね」君を思って走った桜並木。
空っぽの座席に素敵なおみやげだね。
誰かを思うことで心は広がる。
誰かを失うことで心は空っぽになる。
でも、この空っぽのチャイルドシートに積もった花びらのように、
誰かを思っている心には、たくさんのことが降り積もるのだと思う。
こんな自分にも、花びらは降り注ぐ。
桜の終わりは、世界と自分と、ひっそりと向きあうにはちょうどいい。
降り注ぐ花びらを見つめる我が子。
「桜、散っちゃったね」と声をかけると、「どして?どしたら?」
どうして花が散るの?どうしたら花が散らないですむの?、
と聞いているのだ。
「花は散るよ。でも雪みたいできれいね」と言うと「ゆき!」と笑う。
楽しかった冬の思い出が、春が過ぎる悲しみを和らげる。
桜が散って、春の終わりを知る。
惜しげなくこの身に降り注ぐ花びらは、
花の命の終わり――死の断片だ。
無数の死をくぐって私は、命を思う。
今年もまた、この世界に生きることを許されたのだ。
来年まで、さよなら。
さあ、ここからが、一年の始まりだ。
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