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2012年5月18日 (金)

ゲーム開発者Twitterの心得(3)

 前回、「ゲーム開発者Twitterの心得(2)」の続きになります。

 今回は、自分が開発に関わったゲームが
発売された後のTwitterでの交流についてです。
 このシリーズは、これで最後になります。




(3)ユーザーのみなさんとの交流について

 Twitterは、とても交流がしやすく、
それゆえ、交流したくなるツールです。

 しかし、Twitter自体が現在も進化しており、
ユーザーさんのTwitterへの姿勢や、その使い方も、
日々変化しています。

 そんな中で、「これが間違いのない交流だ!」
というところまで確定していくのは難しいでしょう。

 そこで、2012年の現時点でのことですが、
私が気をつけているポイントをいくつかご紹介したいと思います。




①気分は天体観測

 自分が関わったゲームの感想について、
「面白かったですか?」とか「どこがよかったですか?」とか
ユーザーさんに、あれこれと質問したくなるものです。

 気合いの入った作品、大切な作品なら尚更でしょう。

 ですがユーザーさんに直接ご感想をうかがうことについては、
私は、気をつけるようにしています。

 ゲーム制作には大勢の人々が関わっているので、
関係者の方がそれぞれの言葉で「感想をください」、
と言い出したら、とんでもないことになります。

 リツイート狙いで開発者の気を引くような感想ばかり
になってしまっても、それは残念なことだと思うのです。

 それに、ゲームへの思いを綴るのに、
140文字という枠は足りないのではないでしょうか?

 やはり、詳しいご感想やご意見ご要望については、
開発会社さんへのアンケートハガキやファンメールなどで、
集めていくのが一番かと思います。

 なので、私の場合ですが
「開発者自ら感想を取りに行く」というような、
インタビュー方式ではなく、
「ふいに流れてくる流星のような感想を観測する」
という天体観測的なスタイルでいます。




②「記録」ではなく「記憶」に残す

 ユーザーさんがゲームのご感想をつぶやいている場合、
嬉しくて、ついリツイートしたくなることもあると思います。

 でも、自分にリプライされたものではない、@なしのつぶやき……
つまり、宛先のないユーザーさんの個人のつぶやきを
リツイートするのはどうでしょうか?

 これは、「どうしよう?」と迷われる部分だと思います。

 「開発者が喜んでいることを伝えたい」と言う気持ちは、
純粋な喜びと感謝から来るものだと、私は思います。

 Facebookの「いいね!」ボタンのような感じで、
Twitterのリツイートを使いたいこともあると思います。

 しかし、Twitterへの参加者が増え、
裾野が広がったことで、リツイートへの考え方も、
だいぶ事情が変わってきたようです。

 ユーザーさんの中には、
Twitterをメモがわりに使う方もおられますし、
複数のつぶやきをつなげていくことで、
独特な世界観とも言えるものをまとわせる方もおられます。

 開発者の中には、いわゆる「著名人」もいらっしゃって、
ユーザーさんのご感想を大量RTされる方もおられます。

 事実、それを喜んでらっしゃるファンの方も、
あのひとフォローしたらリツイートで埋まっちゃって大変!、
と思ってる方もいらっしゃるのです。

 こうしたTwitterの使い方や感じ方の違いから、
「公の場でつぶやいた」=「開発者がリツイートしていい?」
と、クエスチョンがついた感じになっているのが、
現状かと思うのです。

 Twitterは始めた時期やフォロワー数、
使い方や慣れ方によって、感じ方も考え方も様々です。

 色々な考えがある以上、自分の関わった作品だからと、
あれもこれもと片っ端からリツイートしてしまうのは、
少しですが心配な面もある……というのが私の考えです。

 そこで私自身は、ユーザーさんからのご意見ご感想は、
この胸に留め、次の作品に向かう力にしています。

 Twitter上で記録するのではなく、心に記憶したいのです。




③おとなな遠距離恋愛

 Twitterを長くやっていると、
自分が関わった作品のイベントや、その告知に
ばったりと遭遇することもあります。

 まずは、「うれしい!」という気持ちがあるでしょう。
そして、「参加したい」「広めたい」という気持ちも、
じわじわと出てくるものだと思います。

 ですが、ここはすぐにリツイートしたり、
イベントへの参加表明したりせず、状況をよく確認したいところです。

 例えばなのですが、
「あのイベントはリツイートしたのにこっちはしないのか?」
という不公平感が出てしまうのも困りますし、
「開発者が承認した」→「開発会社が承認」→「公式イベント!」
と、勘違いが加速していく場合もあるからです。

 ケースケースで確認するのがいいのですが、
開発内部にそうした担当者さんがいらっしゃらない場合もあります。

 そこで、基本的には、
ユーザーさん個人で行われるイベントについては、
そのユーザーさんたちの楽しみを邪魔しないためにも、
「うれしいなあ」という素直な気持ちを持って、
「その場に飛んでいきたい!」という情熱はグッと堪えて、
遠巻きにそっと見守りたい、というのが私の気持ちです。

 ちょっと遠距離恋愛の心持ちに似ていますね。




 私がTwitterで気をつけている立ち振る舞いについて、
三回に分けて、まとめてきました。

 ここで書いたことは私個人の現時点での解釈ですし、
時代が進み、ネット環境が進化していけば、
人々の考え方や好まれるルールも変わっていくのかもしれません。

 でも、きっと、考えの根っこは変わらなくって、
とても単純なことではないかと思っています。

 作品と開発チームを大切にすること――。

 ゲームは、それ単体では存在しません。
 大勢の開発者さんはもちろん、
営業さん宣伝さん、イラストレーターさんや背景さん、
声優さんや音響さんがいらして、生み出せるものです。

 そしてゲームというのは、
そのゲームを遊んでくださるユーザーさんがいて、
その方の体験を、冒険を、遊びを通して、
はじめて完成するのではないかと感じるのです。

 その作品を大切に思う気持ちで、
遊んで下さるユーザーのみなさんごと、まるっと、
大切にしていきたいですよね。

 ネットが発展した今は、Twitterを始め、
さまざまなところでユーザーさんの気持ちを知ることができます。
 ユーザーさんとの交流という点で、
こんなに恵まれた時代は、かつてなかったでしょう。

 この場を借りて、私の関わった作品について、
ご感想やご意見をつぶやいてくださるみなさまに、
深く感謝いたします。ありがとうございます。

 ゲームを好きなひとたちが、楽しい交流ができますように。

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