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2011年5月 6日 (金)

ことばのむこう

おやつに一番大きなクッキーを手にして、


「これ、おーきしぎるー!(これ大きすぎる!)」


と、笑う。

お兄ちゃんたちと一緒で楽しかったね、と言うと、


「おにーた、いっしょ、うーむ、うーむ……。
 (おにーちゃん、いっしょに……)」


と、言葉につまる。


お花を見ると、


「ぱんぽぽー!(たんぽぽ!)」


でも、本当はつつじ。


どうして、大きすぎるクッキーを手にするのか?
どうして、楽しかったことなのに言いよどんでしまうのか?
どうして、つつじがたんぽぽなのか?


それは、そこに気持ちがあるから。

大きなクッキーを手にするのは、ママと分けて食べたいから。
言いよどんでしまうのは、遊んだ記憶があまりにも楽しすぎて、
うまく言葉に出来なくて、もどかしいから。

つつじがたんぽぽになるのは、
たんぽぽの中でお友だちと遊んだのを覚えているから。


子どもを見ていると、
言葉はそこにあるものだけを指しているのではないとわかる。
背後には、大切な思い出が重なりあっている。

正確に気持ちを伝えることの大切さを学んでいくに連れ、
こうした会話も、言葉通りのものに置き換わっていくのかもしれない。
そうして、私たちはおとなになったのかもしれない。

大人同士の会話では忘れてしまうことを、
子どもたちは教えてくれている気がする。

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