ペンをとろう!
みんなが思っていることのあれこれを、
書き残して欲しいと思っている。
被災しているひとも、そうではないひとも、
自分の気持ちを、自分の言葉として書いて欲しいと思う。
政府と東電がどう言ってるとか、
専門家の先生がどう言ってるとか、
そういうことではなく、
今を生きてる私たちの声を残したい。
今、Twitterや掲示板に散ってしまっている
みんなのそれぞれの思いを
後に読み返せる形で書きとどめておいて欲しいと思う。
日々の食卓とか、仕事のこととか、
ニュースを見て友だちとこんな話をしたとか、
そして、自分たちはどうなるんだろうとか、
こういうことをしたいとか。
悲しみも、不安も、怒りも、喜びも。
考えや気持ちが、二転三転したりすることも。
細やかに書いておいて欲しいと思う。
平たく言えば、みんなに日記を書いて欲しい。
文才がないから恥ずかしい、
という人もいるかもしれないけれど、
自分の日記を綴るのに、
(むろん、自分を含めた誰かを傷つけないような配慮はいるけれど)、
誰かに遠慮する必要はない。
自分たちがなにを思い、どう生きているのか?
自分の気持ちを吐き出すことで、心が楽になることがある。
心が疲れてしまうと、
なにか楽しい物を無理矢理でも外から心に入れて、
心を活性化させようとしてしまうこともあるのだけれど、
そればかりでも行き詰まってしまうことがある。
してもらうばかり、与えられるだけでは、
ひとは、すまないとか、申し訳ないという気持ちになってしまうからだ。
そして、どこかに書かれた誰かの気持ちに触れることで、
自分も同じだと思ったり、
自分とは違うものの受け止め方を知ったりすることもある。
人を知ることで、自分の中にその人を思う心が新しく生まれる。
人間、誰でも自分だけのためには踏ん張れない時というのがある。
日々の暮らしを続けることが、つらいことがある。
そんなとき、人との出会いは、
自分の中に、新しい心の力を生み出してくれる。
気持ちのやりとりの緩やかな流れが生まれることで、
私たちは「今」という時を、もっと共有できる。
今、私たちが抱えている思いは、
この時代を生きる人々の偽らざる気持ちだ。
自分の気持ちを知ることは、
このたいへんな時代を生きて行くためには、
とても大切なことだ。
幸いにも、私たちはネットを知っている。
ブログなど、気持ちを簡単に書き残せるツールもある。
そしてそれは、世界とも、未来とも繋がっている。
私たちは自分たちの思いを、
今を一緒に生きてる誰かへ、世界の人々へ、
そして、未来へも飛ばせる――。
世界とも未来とも繋がっている。
こんな時代はかつてなかったと思う。
だから、それを活用して欲しい。
2011年3月11日から始まったこの新しい時代が、
どんな時代だったのか?
将来、私たちの子孫たちが調べることがきっとある。
そして数年後、
今よりもう少しおとなになった私たち自身が、
この時代この時を振り返って、あらためて思うこともきっとある。
だから、一生懸命、今を生きている記録を、
今を生きているみんなで、残していきたい。
みんなにペンを持って欲しい。
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