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2011年4月 9日 (土)

待っててね、待ってるよ

最近は子供がよく眠ってくれるので、ずいぶん楽になりました。

この前までは「まま~、まま~」と言って、
泣いて寝るのを拒んでいた我が子ですが、
ここ数日は、ふと気づくと
お気に入りのタオルをかぶってまるまって眠っています。

ピンクのときは桜餅、白のときは大福と呼んでます。
写真は昨日のずんだ餅。


20110409


子供の寝顔を見ているとき、命なんだなあと思います。
束の間、地震のことも原発のことも忘れてしまいます。

そして、そんな自分に気づいて、
もうあの頃とは世界が違ってしまったんだと、思い知らされます。


少し前まで、シナリオライターとしての私は、
喜んでいただけるものを作れただけで満足でした。

できればそれが時代を超えて人々の胸に届く、
普遍的な何かをはらんでいればと思っていました。


皆さんの心は、主人公たちの気持ちに寄り添って、
物語を追体験していくことになります。

だから今という時代を意識しながらも、
それとは別軸で、どんな時代になったとしても、
人々に課せられるであろう、生きることそれ自体の苦労を、
その中で、ささやかなしあわせに向かう人間の姿を、
ありのまま書き留めたいと思っていました。


でも、3.11、東日本大震災。
続く余震、原発の危機。
言葉で言い表せない激しい感情がありました。

そういうものをみんなで体験している今なのです。

これから私がお預かりしていく心は、そういう背景とは
けっして切り離されることのないものだと感じたのです。

今、私の手に委ねられるシナリオはすべて、
この時代を生きるみんなを元気にする心の糧であり、
それは人々の心をめぐりめぐって、
明日を生きて行くための一助になるかもしれない。
そういうことを強く念頭に置いているのです。

だから今までよりもっと、誰かの笑顔を思い浮かべて、
この時代を生き抜くために必要な心の力、
その下支えをお手伝いさせていただいているという気持ちで、
ひとつひとつの作品に向かいたいです。


そして、面白いもの、楽しいものでみんなの心を結びつけて、
たくさんたくさん共有させてしまいたいです。

悲しみが吹き飛ぶくらいの楽しさを。
辛さを忘れるくらいの喜びを。

たとえ一瞬だっていい。
その一瞬のために、心を込めて、工夫を凝らして、
良い作品をたくさん作りたいのです。
みなさんの心の栄養を補充するお手伝いがしたいのです。

きっと物づくりの人たちは、みんなそう思っています。
ゲームをはじめ大衆娯楽系のお仕事に従事されているならば、
ことさらその願いは強いものだと思います。

経営者のみなさんには、
長引く不況の傷も癒えぬことと思いますが、
私たち物づくりの人間をこき使うお仕事を、
ぜひとも増やして欲しいと思います。

身体と同じように、心にも休息と食事が必要です。
私たち物づくりのひとは、心の食べるごはんと水を作れます。
どうかその手助けを、我々物づくりの民にさせてください。


そんなことを考えながらも私は、今日も元気に仕事しております。
ワクワクするような企画が、いくつか動いております。
良いものにしますから、待っていてくださいね。

明日が来るのが楽しみになる――。
そんな毎日を、また必ず作りあげますから。

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