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2011年4月19日 (火)

夫婦の時

危険区域への一時帰宅のニュースを見ました。

荷物を持ち出すために、
各世帯ひとりの代表が向かうそうです。

これは、とても辛い話だと思います。

そのご家庭が介護や看病を必要とするご病気の方や、
手の離せない小さなお子さんがいるなどの
事情があるなら話は別だけれど、
夫婦で動けるのならば、夫婦で行きたいと思うでしょう。

どこのご夫婦であっても、
お父さんとお母さんという立場で、
あるいは夫と妻という立場で、
その家で暮らしたことのすべてを、
わけあって生きてきたはずです。

ふるさとでの家族の歴史――。
その幕を下ろすことを、
夫婦のどちらかひとりきりにさせるなんて。

もしかしたら、さいごとなるかもしれない、
大切な我が家とのお別れの時を、
ご夫婦で、分かち合わせてあげてほしかった。


ご夫婦ふたりが、手を取り合って、
共に生きようと思ったその土地、その家なのですから、
沢山の思いがあるはずです。


思い出深い家の前で、ご夫婦が家族の歴史を振り返り、
それぞれに気持ちを吐き出す。
子どもたちのいない場所で、ふたりきりで、泣く。

そして、もどってこようと。とりもどそうと。
また、あたらしい暮らしをふたりで一緒につくろうと。

自分たちは違う土地に行くけど、忘れないからね。
ありがとう、さようなら――。

そういう段階が必要だったのではないかと思うのです。


新しい歴史へ歩み出すためにも、
多くのご夫婦が望んでいたことではないかと思うのです。

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