降り積もる奇跡
誰でも死ぬものなんだ、
ということをほとんど忘れて暮らしていた。
そして、誰もが生まれてきた、
ということもほとんど忘れて暮らしていた。
とんでもない確立で自分という人間が生まれ、
この時代、この場所に生きている。
自分が出会う人々もまた同じように、
とんでもない確立でこの世に生を受け、
とんでもない確立で、この時代、この場所に生きている。
瞬間、瞬間が奇跡のようなものだと思う。
だったらせめて、何かのご縁で知り合った人たちとは、
――それが短期プロジェクトでのお付き合いだろうと、
いずれ引っ越すお隣さんだろうと――、
しばらく、人生をともにいることに代わりはないのだから、
良いかかわり方をしたい。
そこに誰かの人生がある限り、一瞬も粗末にしたくはない。
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