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2009年11月16日 (月)

おとなりさん

091115


「わたしね、いつもはね、

 あやちゃんと、よしえちゃんと、なおこちゃんと遊んでるんだよ」


「へえ~。お友達いっぱいいだね」


「そうなの。わたしいつも女の子と遊ぶの。

 男の子とは遊びたくないの」


「どうして?」


「わたし男の子嫌いなの。だから男の子と遊びたくないんだ」


「そうなんだ」


「でも、サトー君はわたしの靴踏んでくるの」


「踏まれちゃうの? どうして?」


「うん。たぶんね、前ね、わたしが間違って、

 サトウ君の靴、踏んじゃったからじゃないかな」


「じゃあ、ふざけてるのかな?」


「そう! ふざけてる! そうなの! ふざけてるの!」

彼女は大きな瞳をきらきらさせて、「ふざけてる!」と、繰り返していた。
その言葉が、彼女の中でぴったり当てはまったのだろう。

秋晴れの気持ちの良い休日のことだった。
子供と一緒にブランコに乗っていると、
おとなりのブランコに、颯爽と駆け込んできた女の子がいたのだ。

ぎーこぎーこと、ブランコをこぐたび、話に花が咲く。


「でもね、わたし、来年は小学生なんだ」


「もう、お姉ちゃんなんだね。学校楽しみだね」


「うん。

 でも、あやちゃんたちはみんな同じ小学校だけど、

 わたしだけ違うところの学校行くんだ」


と、突然、そこまで元気いっぱいだったおしゃべりは曇り空になった。


「じゃあ、ちょっとさみしいね」


「うん。ちょっとさみしいんだ。じゃあね!」


ぴょんっとブランコを飛び降りると、
曇り空の顔は、またころっと変わって、晴れやかな顔になる。

いっぱいお話して、来たときと同じように、
ひゅーっと風のように走って行ってしまった彼女。
むこうでお母さんが呼んでいる。

来年、小学一年生になった彼女は、
きっとまたいっぱいのお友達を作るに違いない。

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