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2009年11月24日 (火)

うつる気持ち

赤ちゃんと一緒に動物園でニワトリを見ていたら、
小さな女の子がやってきて、檻にピタッとはりついた。

女の子は、その場所を独占するみたいに
両手をいっぱいに広げてニワトリを見ている。

すると、

「赤ちゃんと一緒に見なさい」

と、優しい声がした。
女の子のおばあちゃんだった。

うん、と女の子はうなずいて、うちの赤ちゃんに、

「一緒に見よう。コケコッコだよ」

と言う。

うちの赤ちゃんはとたんに恥ずかしくなって、
私の足にからみつき、足の間にぐいぐい顔を押し付けて、
一生懸命、隠れようとする。

「なにしてるの?」

と女の子。

「恥ずかしくて隠れてるのよ」

と、答えると、

「ふうん」

と女の子は、珍しそうに、また赤ちゃんを見る。
赤ちゃんは、恥ずかしさが頂点らしく、両手を広げて、

「ん!(だっこ!)」

と、だっこをせがむ。

「あら、だっこなの?」

と、ひょいと抱える。
すると、女の子が、

「おばあちゃん、だっこ」

「まあ、あなたもなの? 重たいのに~」

そう言いながらも、おばあちゃんは笑顔。
二歳半だというその女の子とおばあちゃんは、
よくこの動物園に来るという。

「ここは本当にいい街よ。
 公園も近いし、動物園もあるし、この子といっぱい遊べるもの。
 私、この町が大好きでね」

しばし話が弾む。
目を細めて、にこやかに話すおばあちゃんを見て、
また、この街が好きになった。

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写真は、今日のおやつ。
生まれ育った町を訪ねたとき、
お土産に生協で買った薄力粉で作ったケーキ。

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2009年11月23日 (月)

会いたかった風景

子供が生まれてから、どうしても行きたくなった所があった。
私が育った町だ。

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丘の上にある大きな広場と小さな小学校。
それを囲むように緑の斜面に団地が並び立つ。
なんだか、RPGに出てくる城塞都市のようにも見えてくる。

二十年ぶりに、その地に立った。
緑はだいぶ削られ、駐車場になっていた。
カエルが冬眠していたうろのある木も、
アゲハが立ち寄る背の雑木林も跡形もない。

公園を見渡し、不思議な気持ちになる。

――こんなに小さかったんだ。

その小さく思える公園を、今、
やっと歩けるようになったわが子がてくてくと歩いていく。

すっと、記憶がよみがえる。
男の子たちに混じって野球をしたこと。
父とのキャッチボール。夏休みのラジオ体操。
サッカーも、縄跳びも、ドロジュンも。
ここに来れば、いつも誰かがいた。

わが子の背に、幼い自分が重なる。

――この子にとっては、きっと、大きな大きな公園なのだ。

そう思うと、あの日のままだなと思う。
ただただ懐かしい。

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2009年11月21日 (土)

そんなキンメダイ

人生でキンメダイを意識したのは、数年前。
主人との伊豆旅行でのことだった。

伊豆はキンメダイの煮つけが美味しいということで、
調べて行った評判のお店。
その壁に……


生田「あ、ありましたよ!

    キンメダイの煮付け、時価……


壁には、まごうことなき“時価”の二文字。


生田「(時価!?

     時価って、フカひれなんかの超高級食材が

     使うものじゃ……)」


青ざめる私に、主人がヒトコト。


主人「行こう、美和さん。

ここで食べなきゃ、どこで食べる!

    だよ!」


生田「(ああ。またなんて無駄に男らしい)」

顔で笑って、心で泣いて注文したキンメダイの煮つけ。
これが、すごく美味しい!
身はほろっと柔らかく、脂がのっていて、口の中でとろけるよう。

これだけ美味しければ高くてもしょうがない。
でも、ウン万円だったらどうしようとハラハラしていたお値段も、
2500円くらいでホッと一安心。

なんでも、魚の大きさにあわせて値段を変えるので
時価、となっているそう。

写真は、そんな思い出をよみがえらせてくれた
キンメダイのおせんべい。
数日前、伊豆旅行のお土産としていただいたのですが、
こちらもとても美味しかったです。


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観光地のお土産っていいですよね。
「いつか行ってみたいね」とか、
「自分が行ったときはこうだったなあ」とか、
過去や未来の思いもつれてきてくれるから。

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2009年11月20日 (金)

秋のミステリー ~消えた携帯! 秋の味覚に隠されたタイム(セール)トリック!~

「あった!」

と、探していた携帯電話を手にして、違和感を感じた。

「ここに置いたかしら?」

どこかに置き忘れていたのを、主人が拾ってくれたんだろう。
そう思い、その時はそれで終わりだった。

だが数日後――。
思わぬところから事件は発覚する。

「あ、こら!」

少し目を放した隙に、
うちの赤ちゃんが携帯電話を手にしていたのだ。
しかも、今まさに、誰かに電話しようとしている!

「お母さんのだから返してね」

「だあー!(怒)」

と、取り上げて、すぐに電話先を確認すると、そこには――。


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松茸ってダレ!?


と、叫ぶと同時に、脳裏によみがえる事件の断片。

さかのぼること一週間前。
主人が、松茸を買ってきてくれた。
何故か、タイムセールで千円だったという。

そして、せっかくだからと主人自ら、
松茸のさかむしに挑戦した。

なんだか赤ちゃんも食べたそうだったので、
少し分けてあげると、うれしそうにもぐもぐ食べていたっけ。
おいしかったなあ。

両親に、そのことでメールを出した。
その際、「松茸」と何度か打ったので
「ま」の先読み変換で、「松茸」が出るようになった。

そして数日前。
携帯電話に感じた、あの違和感……。


もしかしたら、赤ちゃんが携帯電話を見つけ、
遊んでボタンを押しているうちに、電話登録画面になり、
これまた遊んでいるうちに、名前入力画面になり、
さらに「ま」を押して、「松茸」を変換し、
そのまま登録完了してしまったのではないか――?

「そうなのかな?」

「だあ~(ソレ、貸して~)」

これはあくまで、私の推理だ。
真相は闇の中……。


ちなみに松茸は国産ではなく、カナダ産だったそうだ。
だから千円か!

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2009年11月18日 (水)

降り積もる奇跡

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誰でも死ぬものなんだ、
ということをほとんど忘れて暮らしていた。

そして、誰もが生まれてきた、
ということもほとんど忘れて暮らしていた。

とんでもない確立で自分という人間が生まれ、
この時代、この場所に生きている。

自分が出会う人々もまた同じように、
とんでもない確立でこの世に生を受け、
とんでもない確立で、この時代、この場所に生きている。

瞬間、瞬間が奇跡のようなものだと思う。

だったらせめて、何かのご縁で知り合った人たちとは、
――それが短期プロジェクトでのお付き合いだろうと、
いずれ引っ越すお隣さんだろうと――、
しばらく、人生をともにいることに代わりはないのだから、
良いかかわり方をしたい。

そこに誰かの人生がある限り、一瞬も粗末にしたくはない。

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2009年11月17日 (火)

新しい物語でまた会おう!

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「東京DOGS」を見ていたら、
大手芸能プロダクションへの聞き込みシーンで、
見覚えある女の子がいました。

よーく見てみると、セーラーヴィーナスの小松彩夏さんでした!

このプロダクションが裏でやばいことやってるから、
ヴィーナスがアイドルになって潜入捜査してるんだわ、
なーんて、一瞬、考えてしまいました。

少し前に、仮面ライダー龍騎の秋山連役の松田悟志さんが
資生堂のCMに出ていたときも、
連は最後のライダーとして生き残って、普通にサラリーマンやって、
恵里さんと幸せに暮らしてるのかな、と思ってしまいます。

イベントとイベントの間を補完しようとするのは、
シナリオライターならではの癖かもしれません。

どんな作品も、いつかは終わってしまうもので、
それは慣れ親しんできた世界と人間関係が
ごっそりとなくなることなので、とても寂しいことなのですが、
そこにかかわった役者さんやスタッフさんとは
また新しい物語で、新しい出会いをするものなんですよね。

いつか出会ったみんなが元気に活躍している姿を見ると、
本当にうれしくなってしまいます。

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2009年11月16日 (月)

おとなりさん

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「わたしね、いつもはね、

 あやちゃんと、よしえちゃんと、なおこちゃんと遊んでるんだよ」


「へえ~。お友達いっぱいいだね」


「そうなの。わたしいつも女の子と遊ぶの。

 男の子とは遊びたくないの」


「どうして?」


「わたし男の子嫌いなの。だから男の子と遊びたくないんだ」


「そうなんだ」


「でも、サトー君はわたしの靴踏んでくるの」


「踏まれちゃうの? どうして?」


「うん。たぶんね、前ね、わたしが間違って、

 サトウ君の靴、踏んじゃったからじゃないかな」


「じゃあ、ふざけてるのかな?」


「そう! ふざけてる! そうなの! ふざけてるの!」

彼女は大きな瞳をきらきらさせて、「ふざけてる!」と、繰り返していた。
その言葉が、彼女の中でぴったり当てはまったのだろう。

秋晴れの気持ちの良い休日のことだった。
子供と一緒にブランコに乗っていると、
おとなりのブランコに、颯爽と駆け込んできた女の子がいたのだ。

ぎーこぎーこと、ブランコをこぐたび、話に花が咲く。


「でもね、わたし、来年は小学生なんだ」


「もう、お姉ちゃんなんだね。学校楽しみだね」


「うん。

 でも、あやちゃんたちはみんな同じ小学校だけど、

 わたしだけ違うところの学校行くんだ」


と、突然、そこまで元気いっぱいだったおしゃべりは曇り空になった。


「じゃあ、ちょっとさみしいね」


「うん。ちょっとさみしいんだ。じゃあね!」


ぴょんっとブランコを飛び降りると、
曇り空の顔は、またころっと変わって、晴れやかな顔になる。

いっぱいお話して、来たときと同じように、
ひゅーっと風のように走って行ってしまった彼女。
むこうでお母さんが呼んでいる。

来年、小学一年生になった彼女は、
きっとまたいっぱいのお友達を作るに違いない。

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