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2009年7月22日 (水)

数十年後にまた……

思い切って、今日は朝から出かけた。
重く垂れた雲のせいか、やや肌寒い風のせいか、
見慣れた街が、どこか違って見える。

46年ぶりの皆既日食だという。
強く意識していたわけではないのに、
昨日は何故か眠れなかった。

あいにくの空模様だが、
夜のように暗くなるという風景は見てみたい。

足早に駅まで出てみたものの、まだ時間はある。
ウィンドウショッピングで時間を潰そうと店に入ると、
大きなシェルフが目に飛び込んできた。

ちょうど、こんなシェルフを捜していた。
サイズも我が家にぴったりのように思える。

迷ったが、主人にメールを飛ばし相談。
仕事を終え、駆けつけてくれた主人と
サイズや搬入口を確認して、購入を決定する。
配送手続きを済ませ、店を出る。

すると、鈍い灰色に沈んでいた街が、
ゆっくりと光を取り戻していくところだった。


  主人「そういえば美和さん、日食は?」

  生田「!」


日食のピークは過ぎてしまっていたのだ。


  生田「ああ、買い物なんて後回しで良かったのに~」

  主人「じゃあ、次の皆既日食を見ればいいよ」

  生田「でも、たぶん何十年も先ですよ」

  主人「一緒に見られるよ」


くったくない主人の笑顔を見て、
遠い未来が、すぐ側に感じられた。


  生田「そうですね」


宇宙規模のドラマチックなイベントと、
私たちのささやかな日常の出来事と。

比べたら、日常のことなど、
なんの価値もなさそうに見えるけれども、
そうではない。

こんなたわいもない、それぞれの日常が――
だけど、かけがえのない日常が――、
宇宙のドラマというフィルターを通して、
時を超えて、空間を越え、つながっていく。

きっと26年後、
前の皆既日食の時はああだったねと、
あの時も君と一緒に空を眺めていたなあと、
懐かしく話し合うのだろう。

090722

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