ただいま……
時々、懐かしく思い出す風景があります。
はじめてルリタテハを見つけた、広い墓地。
幸せの青い鳥みたいなオナガが群れなす、不思議な雑木林。
小学生まで住んでいた、とある小さな町の風景です。
あの頃に帰りたいかと聞かれれば、いいえ、と即答できるのに、
何故か、胸の片隅に切なさが残ります。
久しぶりに「滅びし煌めきの都市」を聴いて、
そんな、懐かしい風景がまた胸をよぎってゆきました。
真珠姫や瑠璃君と旅した、あの頃の風景が――。
「ただいま」と言った時に、彼らの物語は幕を閉じ、
私たちは自分がその世界の住人ではないことを知ってしまいます。
もう帰ることは出来ないのです。
drammatica-The Very Best of Yoko Shimomura
これからこの音楽と物語に出会う方たちの楽しみを奪わないために、
お話しはここまでで。
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