幼い頃、通学路の途中にある野原に『草花町』と名付けていました。

鮮やかな色、繊細な形。
小さな草も、大きな木もよく似た構造を持っていること。
雨の後、水滴が水晶玉のように葉に転がる様子。
植物の世界はとても神秘的に見えたものでした。
「こびとになって、この葉っぱの上に立ったら、
世界はどんな風に見えるのだろう?」
そんな世界観を友達と共有して、
お話をつくりあったのを覚えています。
あの頃、世界は輝いていました。
遊んでいる子供たちの目が、きらきらして見えるのは、
そんな世界を、どこかに隠し持っているからかもしれません。