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2007年9月30日 (日)

夫婦レベル2

生田と書いて、「しょうだ」と読む名字は珍しいです。
初対面では、「いくたさん」と呼ばれることがほとんどでした。

「なまださん」や、「しょうびかずさん」と呼ばれたこともあります。
「生田美」と「和」で区切って読んでいるらしいのですが、
田んぼは、何処にいったのでしょうか?
あと「なまでん」——。これはこれで良い名前だと思います。


これだけ多彩な名字を持つ私ですが、
主人は初対面から「しょうださん」と呼んでくれて、一度も間違えたことがありません。
私が親しい方々にお礼状をしたためていると、そんな主人が声をかけてきました。


「君のお世話になった人達だから、俺も挨拶させてほしい」

「ほんとう!? ありがとー!」


私が大切に思っているひとを、主人も大切に思ってくれる——。
こんな時、とっても嬉しくなります。
しばらく幸せを噛みしめていると、主人が慌てはじめました。


「どうしたの?」


”生田の夫です”、と書こうとして、

 ”生の夫”って書いた



あなた!

私の田んぼはっ!?


070929


いやいや。甘いものでも誤魔化されませんぞ。

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2007年9月23日 (日)

懐かしい横浜へ

ひさしぶりの横浜です。


070923


私は生まれも育ちも横浜なので、
やはり、横浜に戻ると落ち着きます。

しばらく横浜に帰ってなかった私でも、
横浜ならまあ、案内できそうな気がするワケですから、
幼少時代から蓄えた、なんとなくの土地勘は
立派な財産なんだなあと思います。

そんなおぼろげな記憶と共に元町に立ち寄ってみたら、
なんとチャーミングセールやってるじゃないですか!

近沢のレースに、キタムラのバック!
中学生くらいの時に友達と来て以来かな?
なつかしー!

両親から教えてもらったのですが、
私が子供のころに座って写真を撮ってもらった(らしい)、
「大きな赤い椅子」も健在でした。

でも変わっている場所も幾つかあるようで、
なんとなく違う感じがあるんだけど、なにが違うのかわからない
——というところも多々ありました。

たとえば、ZARAやGAPは、
私の子供時代には無かった気がするんですが、
はたしてあの場所に元々何があったのかというと、
思い出せないんですよねえ。

そんなわけで、
かなり変わった一角もあるらしいけれど、
それでも全体として眺めていると、
やっぱり懐かしいなあ、と思ってしまうのが不思議です。

きっと風景というのは、建物や地形の集合が
作り出すものじゃないんですね。

私の場合、子供の頃から見てきた横浜の風景の上に、
今の横浜を重ねて見てしまうわけです。

例えば、両親は「赤い大きな椅子」を、
元町の重要な風景の一部として覚えている。

一方、私は「友人たちとチャーミングセールに来た」
ということを、元町の風景の一部として覚えている。

ある風景というのは、
その場所に積み重なっていく記憶まで含めて、
形作られるものなのかもしれません。

特に、生まれ育った風景というのは、
自分の人生と切り離しては見られないのでしょう。

だから、私が見ている風景と、誰かが見ている風景は、
同じであって、実は違うものなんだろうなーと思います。

その人にしか感じ取られない世界があるなら、
人の数だけ、世界はあるのかもしれません。

そうだとしたら、
「話せば誰もがわかりあえる」とか、
「自分が感じていることが常識だ」とか、
簡単に思ってはいけないんですよね。

それは絶望を感じるようなことではないんですが、
誰かとの一体感を求めるような純粋なひとたちには、
悲しく思えるかもしれません。

でも、「人とは、それぞれに違うものだ」、
というのを認めてやっと、
人は話し合いの席に着ける気がします。

とりとめもなくそんなことを考えて元町を歩いた後、
少し足を伸ばして外人墓地へ。
白い彼岸花があって、ちょっと驚いたり、
海の見える丘公園で海を眺めたり……。

写真は横浜ベイブリッジです。
あいにく曇り空でしたが、風は気持ちよかった!
横浜に帰ってきたなーという感じがします。

故郷に帰ると、気持ちが和らぎます。
ここには私の人生を知ってる風景がたくさんあるから。
例えそれが、他の人に見えなくて、到底分かち合えない風景だとしても、
それでも私はすごく元気になれるんです。

いつかまた、その続きの風景を描きに戻ってくるよ。
それまで、みんな元気でね!

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2007年9月22日 (土)

迷えるものよ

東京ゲームショウの大変な、
でも、とっても楽しかった一日が過ぎました。

今年、私はビジネスデーだけの参加だったので、
今日はようやくゆっくり出来ます。

そこで……。
昨日は書けなかったことを懺悔しておこうと思います。

「ヴァルハラナイツ2」の新作発表会でトークするということで、
当日、私はたいへん緊張していました。
そんな私の様子を見て、心配した主人が声をかけました。


「落ち着いて、ゆっくり喋るんだよ」

「うん」

「あと、もし道に迷ったら、
 基本に戻って、元いた場所に戻るんだよ」

「うん」


そうなんです。私はひどい方向音痴なのです。
でも、マーベラスエンターテイメントのブースの位置も
確認しているので、今回はまず迷うことはないでしょう。


会場について、ひととおり見て回った後、
マーベラスエンターテイメントのブースに伺い、
出演者控え室への道を教えていただきました。
控え室までの道は単純で、すぐに覚えられました。

思った通り、すぐに控え室に続く扉が見えてきます。
扉をくぐると、目の前に光が差し込んできて——

コンクリを焦がす、真昼の太陽と、
むあーっとした空気。

外でした……
警備員さんが並んでいて、車が止まってます。


控室って、車で行くのか……?

そんなワケないだろう。


引き返して、もう一度、やりなおし、
よし、ついたぞ!、と思ったらソコは——


DoCoMo控室。

ドコだココ……?


もう一度、道を確認。今度はもっと慎重に道を進みます。
そして、それらしい扉をくぐっていくと——

今度は掃除のおじさんがいます。
おじさん、ぎょっとしてこちらを見ています。


その目は明らかに

部外者を見る目です。


この段階で、頭の中は真っ白。


何故だ?

 何故、たどりつけない!?


軽い眩暈を感じながらも、考え直します。


(いや、道は単純なんだ。間違えようはない。
 いや、間違えてるけど……。
 でも、そうは離れてないはずなんだ。
 よし!)


さっそく、手近なひとたちに聞き込みを始めました。


「すみません!
 マーベラスエンターテイメントさんの控え室、
 この辺りにあるはずなんですが、ご存知ありませんか?」


「わからないねえ。よそで聞いてくれないかな?」
「は、はい。失礼しました!」

「すみません。他社のことはわからないですねえ」
「そ、そうですよね。すみませんでした!」


と、謝りながらも、


誰も知らない……ということは、

 根本から方向を間違えてる!?

この段階で、頭の中は真っ白を通り越して、「無」。
「無」の中をめぐるのは、主人が言った、このヒトコト。


迷ったら基本にかえれ——

迷ったら基本にかえれ——

迷ったら基本にかえれ——


それは鉄則です。が——。


帰巣本能があるヤツは、

 そもそも迷わないんじゃないのかっ?!


さて……。

ここからどうやって、
マーベラスエンターテイメントのブースに戻ったか、
記憶は定かではありません。
たぶん真っ青な顔して、走り回っていたと思います。

やっとたどりついたブースでもう一度道を訊ねると、


「ああ、生田様ですね。ご案内しますよ」


と、親切なスタッフの方が、つきそってくださいました。
このときのスタッフの方の優しい笑顔といったら!


ああ! 助かったんだ、私!


と、思いました。

おかげさまで、打ち合わせ時間にもちゃんと間に合って、
無事、トークショーにも出演することができました。
スタッフのお姉さん、ありがとうございました!

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2007年9月21日 (金)

ヴァルハラナイツ2 新作発表会!

東京ゲームショウ2007の2日目(21日)に
マーベラスエンターテイメントの新作発表会がありました。
私もゲストとして登壇し、
「ヴァルハラナイツ2」のシナリオの魅力を語ってきました!

プロモーションビデオは、初めて拝見したのですが、
私が手がけたシナリオの「裁きの日ー」から始まる
一連のフレーズが採用されていていました。
ご覧になられた皆さん、雰囲気は伝わっていたでしょうか?

また、中岡さんの担当されている音楽がたいへん素晴らしく、
「ヴァルハラナイツ2」の重厚な雰囲気にぴったりでした。

プロモーションビデオを会場でご覧になった方は、
きっと「おおー!」と、思われたのではないでしょうか。

当日はビジネスデーでしたので、
ご覧になれなかった方も多いのではないかと思いますが、
新作発表会の様子は、各ニュースサイトで
取り上げられていますので、ぜひ、ご確認下さいね!

こちらはファミ通のサイトでの紹介記事です。
http://www.famitsu.com/event/tgs/2007/1210718_1603.html


070921


写真は、トークも終わって、ホッと一息の私。

現場の開発者にとって、ゲームを遊んでくださる皆さんと
接する機会はとっても貴重です。

遊ぶ皆さんと、作る私たちとを結ぶような、
こういう機会が増えるといいですね。

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2007年9月20日 (木)

夫婦レベル1

主人が、歯医者さんに通っています。

いろんな課をまたいで診察しているようなので、
心配になり、聞いてみました。


「歯医者さん、よさそうですか?」

「うん」

「先生、いい感じです?」

「うん」


なんとなく伝わっているかと思いますが、
主人はいつもこんな感じです。
真面目な人で、無駄なことは喋りません。

それでも「いいお医者さんだと」わかりました。

最初は言葉の少ない主人に戸惑うことも多かったのですが、
最近はちょっとした表情でも、
主人の思っていることがわかるようになりました。

夫婦らしくなってきたみたいです。

ちょっと嬉しくなって、
もう少し話を続けてみることにしました。


「どんな先生?」

女医さんだよ


ちょっと待て。

何故、ソコは即答なんだ?


なんとなく不安になり、よせばいいのに聞いてみます。


「どんな女医さんなの?」

「うーん」


しばしの沈黙。
そして……。



服、着てるからわからない


あなた!

あなたは、ふだん、

服を着てない女医さんと

会っているんですかっ!?



問い詰めたところ……

主人は、髪形から説明したかったそうです。
ところが帽子をかぶっていてわからないと。

次に顔を説明したかったそうです。
ところがマスクをしているからわからないと。

最後に服装を説明したかったそうですが、
お医者さんの服を着てるのでこれもわからないと。

つまり、個人の雰囲気を特定するようなものがなにも見えず、
お医者さんの着ぐるみの中に、すぽっと人が入ってるように、
中の人の様子は、まったくわからなかったそうです。

その中身がわからないという部分が、
服を着てるから、という説明になったらしいです。

まったく、言葉が足りないにも程があります。
人騒がせな……、と思っていると、


「で、どうして、美和さんは
 服を着てないお医者さんをイメージしたの?」


と言うじゃないですか。
それで、丁寧に説明しました。

すると主人は、
ようやくおかしさに気づいたようで大爆笑。
そして、ひとしきり笑った後、


美和さんって、ほんっと面白いなあ


面白いのは、あなたです。

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2007年9月18日 (火)

ヴァルハラナイツ2の続報です!

9月14日発売の「ファミ通PSP」にて、
「ヴァルハラナイツ2」が紹介されています。
まだご覧になっていない方は、どうぞお手にとってくださいね!

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2007年9月17日 (月)

可愛いに越したことない

これ、なんだかわかりますか?


070917


実はボールペンなんです。

お店では、筆立てに頭から突っ込まれて、
可哀想なくらい、ぎゅうぎゅうになっていたので、
こんなにかわいい魚のペンだとはわかりませんでした。

この魚のペン、手に持つと、さらにかわいいんです。

尾の方がボールペンになっているので、
文字を書いてる時は自然に、魚の頭がクイクイッと動くんです。
普通に字を書いてるだけなのに、かわいいんですよ。

鞄の中に入れても、机の上に出していても、
なんだか目が合ってしまって、それもいいです。

かわいいアイテムって、なかなか手放せないですね。

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2007年9月 9日 (日)

ヴァルハラナイツ2が発表されました!

「ヴァルハラナイツ2」
9月7日発売のファミ通で、ついに発表されました!

私は、シナリオを担当させていただいでおります。

前作ヴァルハラナイツは、
ゲーム映像の質が飛躍的に向上して以来、
ともすれば「見せること」に傾きがちなゲームの中で、
「遊べること」にこだわった、素晴らしいゲームでした。

遊べるゲームを作り上げる——。
「ヴァルハラナイツ2」にも、その意思は継承されています。


公式サイトはこちらになります!

http://www.mmv.co.jp/special/game/psp/valhallaknights2/

どんな冒険が待っているのか?
あれこれと想像する瞬間から、もう冒険は始まっています。
みなさん、続報をお楽しみに!

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2007年9月 6日 (木)

生きるべきだ

なんと、海で遊んだその日の夜……。
私は、激しい腹痛と嘔吐で、
病院に担ぎ込まれてしまったのでした。

原因は不明。

夜間は緊急手当てを受けましたが症状は緩和せず、
翌日、あらためて検査することにしました。

翌朝、妙に重たく感じられる体を引きずって病院に行くと、
たいへん紳士的な優しい先生が慎重に診てくださいました。



「これは、急性腸炎ですね。すぐ点滴しましょう」

「は、はい……(嫌だなあ、点滴の針、刺されるの)」

と、点滴の痛さと怖さだけで倒れたこともあるくらい、
痛みに敏感な私がブルーになっていると、



「レントゲンで見たところ、
 何かが引っかかっているわけではないので、


 手術の必要はないと思いますが」



「え? 手術!?

「まあ、場合によっては、


 鼻から腸まで管を通しましてね


 ガスを抜いたり、
 悪い汁を抜いたりする必要があるかも……
 ……。



 まあ、ちょっと苦しいんですがね



ちょっ、ちょっと?


 鼻から管がっ!? ちょっと!?


 ソレ、ちょとってことないだろーっ!?



ジェントルマンの口から、出るわ、出るわ、恐怖の呪文。

この時点で、私の小動物な心臓はバクバク。
40度近くの熱も手伝って、意識は朦朧。



「まあ、ともかく、すぐに入院された方がいいです」

う、うそー!!!!

そんなわけで、


鼻から管に脅えつつ……、


なんと九日間も入院していました。



家族や友人と離れた慣れない町で、
ひとりぼっちで病院に居る時の心細さといったらありません。

毎日、顔を出してくれる主人と、
主人が持ってきてくれる家族からの手紙、
そして、同室の女性ふたりにとても励まされました。

ひとりは、90歳になられる上品なご夫人でした。
戦争のこと、ご主人のこと、お孫さんのことなど、
色々話してくださいました。



「私は、あの時の辛さを思うとね、
 なんでも耐えられるし、頑張れるなあ、と思えるのよ」

もうひとりは、二十代の女性です。
彼女の病気は難しくて、私にはよくわかりませんでした。
その苦しみや痛みも、想像を絶するものがありました。
彼女は、その痛みに、静かに耐えているのです。



「こんなに痛いと、
 自分が悪いことしたんじゃないかと思ってしまう。
 それで罰を受けてるんじゃないかって、思ってしまう……。

 でも、私は、きっと元気になれると思ってる。
 それに、痛い思いをしているひとほど、人の痛みもわかるから。
 この痛みは無駄じゃない」

明るくてまっすぐな彼女の人柄は、
いつでも病室を優しい雰囲気にしてくれました。
彼女に病気になるような理由なんか、ないのです。
罰を受けるようなことなんか、少しもないのです。



寝つけない夜、色々なことを考えました。

病気は何故、人を選ばないのかということ。
何故、健康に気をつけて、体を鍛えていても、
病気になってしまうのかということ。

私たちに出来ることは、定期的な検査による早期発見。
そして早期治療……。

でも自分が健康でも、愛する人が病気になってしまったら?
その痛みを代わってあげることは、出来ないのです。

高熱に浮かされながら、辿り着いた結論は、
誰だって、とにかく生きていくべきじゃないのか——
ということでした。

一方的にやって来る病気に、
人生を目茶苦茶にされていいはずがないのです。

だから、絶対にみんなで、元気に生きていきたい。
そんなことを強く感じました。


070901


写真は、入院中にいただいた励ましメールからです。
蝶が好きな私にと、蝶の写真をたくさんいただきました。
不思議なことに、このアゲハチョウ、40分以上もこうしていたそうです。
まるで思いが通じているみたいに、逃げないでいてくれたのです。

病気は辛かったけれど、
いろんなひとの温かさに支えられた入院生活でした。

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