だれもかまわない日
入籍の記念にと、主人が旅行を企画してくれていました。
緑と水の綺麗な、温泉の町です。
雲の傘がゆるゆると退いて、綺麗な山頂が見えてきます。
田んぼを風が渡っていくと、草がいっせいに揺らぎます。
葉の表と裏とで、陽を跳ね返して、キラキラしています。
この町は、初夏には蛍が見られるそうです。
宿はとても静かです。
まるで雪の深い里のように、
音が吸い込まれて消えていくほどに思えます。
温泉に入って、休んで、また温泉に入って、雑誌や小説を読んで。
過ぎていく時間を、のんびり過ごします。
何かに追い立てられることのない日。
誰も私を待っていない日。
いいです。
忙しく名所を回る旅も好きですけれど、
こういうのもいい。
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