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2006年12月 5日 (火)

望みひとつ

写真は、窓越しに見たイチョウ。


20061205


私が就職浪人していた頃、ある女性に訊ねられた。


「生田さんはどうして就職したいの?」


どう応えたのか、正確なところは忘れたが、
自分で食べていくぶんは自分で稼がないといけないと思う、
というようなことを答えた気がする。

その女性は、「それはとても大事なことだわ」と言って、
ご主人の話をしてくれた。


「私は体が弱くて、普通に働くことができなかったの。
 だけど主人がとても優しくてね。
 君は働かなくても、家庭を守ってくれればいいって言ってくれてね。
 私は彼に守ってもらって、幸せに生きてきたのよ」


その先の言葉を、大学生だった私は想像していなかったと思う。


「あんなに元気だった人が、あっけなく亡くなってしまうなんて」


彼女は四十を過ぎて、はじめて社会に出て働き始めたのだという。

最愛の人と別れるのは、どんなに辛いことだろう。
この世に神がいるなら。


「全ての人が、愛する人と添い遂げられるといい」


それ以外のなにを望むのだろうか。

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